magic hour 10
2010年 07月 23日
「YO, 君泣いているのかい?オレは耳の後ろがかいかいかい」
途方にくれて歩いているカニエルに、ラップネコが話しかけます。
「なんだか、良くわからなくなってしまったの」
「君は何かを知ってしまった、そして扉は閉まった」
ただただ泣きじゃくるカニエルにラップネコは語りかけます。
「オレは何も知らないから、なんでも知ってる、君は何でも知ってるから、何にも知らない。知るってことは、知らない事がどんどん増えていくって事さ、わかるってことは、わからないことがどんどん増えていくってことさ」
韻を踏んでなくてもラップネコの言葉は、一応リズムには乗っていました。
「わからないことばかり増えてしまったらどうなるの?」
「わからないことを辿っていくと、どんどん空の先の先まで行ってしまうんだ」
「そんなに遠くまで行ったら、帰ってこれなくなってしまうわ」
「帰ってこないヤツもいる。でもどんどんどんどん進んでいくと、ちゃんと帰れるらしいんだ。でも、その時には、同じ場所でも、ちょっと違う場所に変わってしまうんだってさ。…って、帰ってきたやつが言ってたぜ」
「なんだか良くわからないけど、ちょっと希望が湧いてきたわ!ありがとうラップネコさん!」
カニエルは、魔女の呪いが解けそうな、そんなヒントが空の先にあるような、そんな気分になりました。
「樽爺様は、会わない方がいいって言ってたけど、やっぱり、直接王子様に会えるようにがんばってみよう!」
カニエルは、立ち止まった足を再び前に踏み出しました。
カニエルの物語、ここから始まってます。<前のページ でお話が進みます。
by the_snapshots
| 2010-07-23 23:34
| モノ